AISの背景: 船舶自動識別装置(AIS:Automatic Identification System)は2002年にIMOで国に規定された航行支援の無線設備で、日本では300グロストン(GT)以上の大型船舶には2002年より船舶搭載の義務化されて実施されています。小型船舶向けの簡易型AISは、国際規格(2006年)Class B AISと呼ばれた規格を基に、小型船舶局向けの特定無線設備として、簡易型船舶自動識別装置として法整備されたもので、簡易な船舶無線局の手続きで運用できますが、その無線設備は技術基準の認証を受けていなければ電波法違反となってしまいます。Class A AIS搭載義務船以外の小型船舶などはAISの搭載義務はありませんが、先進諸国では驚くほど普及していて、船に乗らないマニア達が、世界中の船舶位置データをインターネットに発信しているほどです。
AISの概要: 簡単に言うと、AISはGPS情報を利用して、自船の位置を自動的に電波(VHF)で送信して、相手船舶のAIS電波を直接受信して、自船のレーダーとかGPSプロッターなどの表示装置に相手船の位置を自動表示するもので、レーダーのように、安全航行すなわち見張りの補助機能として船長の航行補佐を自動的にします。そしてVHFの届く範囲であれば(約50Km程度)、島とか半島の影などレーダー以上の範囲をカバーすることが出来ます。また、船舶位置データが電波であるためにだれでも傍受できる利点もあります。
AISの運用: 大型船舶用のClass Aもここで述べる簡易型船舶自動識別装置であるAISもVHF周波数(チャンネル)を共有しているために、基本的には双方向の位置情報などのやり取りは同じです。違いは送信出力と航行情報です。 ある意味では、今まで出来ていなかった大型船舶と小型船舶の自動交信が実現しています。 情報は船舶の名称、大きさ、位置、針路、対地速度などです。
簡易型船舶自動識別装置機器の特徴: 国際標準のClass B AISに準拠した日本独自の呼び名です。 VHFのアンテナとGPSのアンテナを接続して、自船の位置情報などを送信します。 また、他船の情報をPCと電子チャート(海図)などの表示装置を接続して視覚的に表示することが可能です。 これらの表示装置の機能によって、一定の危険距離を事前設定することにより、他船との距離がその危険距離に達した時に、ブザーなど音響アラームを発して船長に知らせる事が出来る表示装置もあります。 船舶の重要な義務である「見張り」を省略することは出来ませんが、これらの自動的装置によって、船長が他の仕事中とか、人間の目の死角をカバーすることができます。
DSC: 簡易型AISはDSC(Digital Selective Calling:GPS情報付遭難信号)送信はできません。一般に、DSCの受信(傍受)は出来ますので、その海況は把握できます。 DSCは国際VHF無線機で行うことになっていますので、両方の設備があると有用性は一段と高まります。
AISの欠点: 現時点で全ての船舶(非搭載義務船)に装備されていないことです。また、魚場を秘密にするために、送信をしない(停波)船舶もあります。 AISをまったく知らない外国船舶もあるでしょう。全面的普及が望まれます。
AIS機器の種類: 送受信可能な簡易型AIS 送受信するので、トランスポンダとも呼び、基本的な機器です。当社製品はこの種類に対応しています(AIS-700)。 一方、受信のみのAISは他船の情報のみ受信して監視できますが、他船からは電波で認識できないので、船舶向けにはAISのメリットは半減します。 船舶運用管理される漁業基地などのには安い装置になります。
AISシステムの利用: 基本は衝突防止のための海上の船舶同士の自動的な情報交換と位置情報の監視など船長の強力な航行援助でありますが、その自船の発信情報が広くネットワークに伝達された場合には、有効な安否情報として関係者に利用できる可能性があります。 AISの電波範囲内であれば、アンテナとAIS受信機とPCなど表示装置があれば、陸上の家族、知人などが目的の船舶の位置をほぼリアルタイムに確認して一定の安否が確かめる事ができます。 現在は私設のAISの海岸受信局が主要な地域に設置されています。 この海岸局は主に受信専用でコンピュータと通常のインターネットを使って、電波受信のようなリアルタイムではありませんが、だれでも見ることができます。海上保安庁もAIS海岸局を日本中に展開して近海の全てのAIS信号を監視してくれていますが、情報は公開していません。 この私設受信局とインターネットを利用して、情報を入手する方法は、携帯電話のWeb機能でも見ることができますので、リアルタイムではありませんが、いつでもどこでも目的の船の位置などの情報がわかります。当社でも、このAIS海岸受信局のさらなる展開に期待しています。
AISシステムの応用: 漁業組合などの運行センターなどに、前記の専用海岸局を設置することにより、組合員の船舶の動向管理と安否確認が容易に実現できます。このシステムはマリーナなどにも応用する事ができます。 AIS技術の一番重要な応用として、船員の落水時などの小型船舶緊急連絡装置です。技術的には落水時に自動発信してAIS装置が緊急信号を発信します。この装置もまもなく販売されるでしょう。
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